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札幌高等裁判所 昭和59年(行ケ)1号 判決

原告

善方正己

右訴訟代理人

阿部勝人

品川吉正

向井諭

中山博之

小寺正史

中嶋恭介

被告

北海道選挙管理委員会

右代表者委員長

天谷平信

右指定代理人

畑瀬信行

外五名

主文

1  原告の請求を棄却する。ただし、昭和五八年一二月一八日に行われた衆議院議員総選挙の北海道第一区における選挙は違法である。

2  訴訟費用は被告の負担とする。

事実

第一  当事者の求めた裁判

一  請求の趣旨

1  昭和五八年一二月一八日に行われた衆議院議員総選挙の北海道第一区における選挙を無効とする。

2  訴訟費用は、被告の負担とする。

二  請求の趣旨に対する答弁

(本案前の答弁)

1 本件訴えを却下する。

2 訴訟費用は、原告の負担とする。

(本案の答弁)

1 原告の請求を棄却する。

2 訴訟費用は、原告の負担とする。

第二  当事者の主張

一請求原因

1  原告は、昭和五八年一二月一八日に行われた衆議院議員総選挙(以下「本件選挙」という。)の北海道第一区(以下「北海道一区」という。他の選挙区についても、これに準じて略称する。)における選挙人である。

2  本件選挙は、昭和五〇年に公布された公職選挙法の一部を改正する法律(昭和五〇年法律第六三号。以下「昭和五〇年改正法」という。)による改正後の公職選挙法(昭和二五年法律第一〇〇号。以下「公選法」という。)一三条、別表第一及び同法附則七項から九項までの規定による選挙区及び議員定数の定め(以下公選法のこれらの規定を「議員定数配分規定」といい、昭和五〇年改正法による改正後のこれらの規定を「本件議員定数配分規定」ということがある。)に基づいて施行されたものである。

3  本件議員定数配分規定は、最高裁判所昭和五六年(行ツ)第五七号昭和五八年一一月七日大法廷判決(民集三七巻九号一二四三頁)が判示するように、昭和五五年六月二二日に施行された衆議院議員総選挙当時、すでに、選挙区間における議員一人当たりの選挙人数の較差が憲法の選挙権の平等の要求に反する程度に至つていたことにより違憲となつていたものであつて、右の較差は、本件選挙当時、さらに拡大しており、昭和五〇年改正法の公布から本件選挙までの間に約八年半の年月が経過しているのであるから、本件選挙当時違憲となつていたものであり、これに基づいて行われた本件選挙は無効である。

その理由の詳細は次のとおりである。

(一) 選挙権の平等

憲法の宣明する平等には、形式的平等及び実質的平等がある。そして、憲法の各規定により、両者を総合的に要求するもの、一方のみを要求するものなど様々である。しかし、選挙権の平等は、形式的・機械的平等が要求されるのであつて、これに反する法律等はすべて違憲である。以下理由を述べる。

(1) 社会が高度に分化された現代においては行政が肥大化されてきた。この様な社会において国民個々人が国政に参加するのは選挙が唯一といつて過言ではない。したがつて、ますます選挙権は重大及び貴重な権利となつている。

(2) 一票の価値が各選挙区ごとに異なることは各選挙区の選挙人が国政に参加する価値が異なることを意味し、明治時代の納税者にのみ選挙権を認めたことと何らかわることなく、平等原則に反することが明らかである。

(3) 地域を選挙区とする制度の下では、人口比例を算術的に貫くことは不可能である(ただし、理念としては貫くべきである。)。しかし、人口比例をできるかぎり実現すべき点は憲法の要求である。

(4) 諸外国の選挙との対比で、アメリカ合衆国は小選挙区制で、日本の衆議院は中選挙区制なので事情が異なる旨の主張がある。

しかし、いかなる選挙制度であれ、選挙権の形式的平等は最大の理念である。

(5) 衆議院議員は、いかなる選挙区で当選しても国政の代弁者と擬制される(これは同議員が当該選挙区に居住する必要のないことからも明らかである。)。このような国政の代弁者への投票価値が異なることが是認される余地は全くない。

(二) 較差の許容限度

各選挙区の較差の最大値が少なくとも一対二を超える場合には、定数配分規定は、許容限度を超え違憲である。

人口比例を算術的に貫けない要素としては、(1)人口の急激な移動及び移動捕捉の遅れ、(2)歴史的沿革、(3)地理的環境などが考えられる。しかし、右要素はあまりに末梢的である。選挙権は形式的・機械的平等が要求されることからも許容限度も当然形式的に確定すべきである。アメリカ合衆国及びドイツ連邦共和国では一対1.5が一応の基準となつている。

北海道一区は札幌市、小樽市等を中心とする選挙区で、人口の移入が激しい地域である。昭和五一年の衆議院議員総選挙においては、議員一人当たり選挙人数の同区と兵庫県五区との較差は、3.17対一であつたが、本件選挙においては3.64対一に投票価値の較差が拡大し、形式的不平等はまつたく解消されていない。

(三) 是正のための合理的期間の経過

昭和五〇年改正法による議員定数配分規定の改正当時、北海道一区と最小区との投票価値の較差は、3.28であつた。

この較差は、許容限度である二をはるかに上回つており、国会の立法の裁量権の行使の合理的限界を超えており、本件定数配分規定は、右改正当時すでに違憲であつたというべきである。

したがつて、定数配分規定が制定当時合憲で、その後における漸次的な事情の変化により違憲に至つた場合と異り、本件においては、合理的期間内の是正という要件を検討する必要がない。

(四) 違憲の範囲

本件においては、北海道一区の選挙が違憲無効とされるだけで、議員定数配分規定全体が違憲となるわけではない(可分説)。その理由は以下のとおりである。

(1) 平等不平等は絶対的な概念ではなく相対的なものである。

違憲の問題が生じる余地のない選挙区も多数存在するのであつて、これらの選挙区の選挙の効力までも否定すべきでない。

(2) 不可分説により選挙を無効とした場合には、すべての衆議院議員が欠けることになり、国政が混乱する。

(3) 後述するように、違憲後の事後処理としては可分説が合理的で、かつ事後処理が可能である。

(4) 可分説によつて議員定数配分規定の一部を違憲とした場合でも、国会は議員定数配分規定の改正にあたつては、全般的にこれを検討し、議員総定数をそのままにして、その枠内で再配分することは何ら妨げられないのであるから、定員の増大につながるものではない。

(5) 不可分説によれば事後処理が困難で非現実的であり、この結果、事情判決が繰り返されるおそれがある。

(五) 事情判決について

本件と同種事件については、いわゆる事情判決がなされる例が多い。しかし、本件においては事情判決でなく、選挙無効を宣明すべきである。以下理由を述べる。

(1) 本件は、原告が北海道一区の選挙区内に居住したために、選挙権をとおしての国政への参加権が侵害されたもので、これは、国民の基本的権利の侵害である。

(2) 事情判決は、行政事件訴訟法三一条の基礎にある法理を適用するものである。しかし、公選法二一九条は、明文で右条文の適用を排除している。しかも行政事件訴訟法三一条所定の事情判決は、当該事件固有の個別的具体的な諸般の事情に基づき原告の利益と公益とを比較衡量してされるものである。ところが、本件と同種事件についての事情判決は、右の本来の趣旨と異なり、単に選挙の効力を維持するための説明にしかすぎない。これは、消極的な意味での立法であり、三権分立に反する。

(3) 行政事件訴訟法三一条所定の事情判決の制度自体がその合理性に疑問のある例外的制度であるから、同法の基礎にある法理の適用には、より合理性に疑問があり、同法理の適用はきわめて厳格にすべきである。

(4) 選挙無効の判決後の事後処理

本件選挙を無効とする判決は、北海道一区選出の議員の資格を将来に向つて失わせる効力をもつだけであつて、他の選挙区選出の議員の資格に影響を及ぼすものではない。そして、北海道一区選出の議員を除く残余の議員で構成される衆議院において、早急に北海道一区のみの定数を改正し同区の再選挙を行えばよい(再選挙の要件である三〇日の期間を厳格に考える必要はない。)。

4  よつて、原告は、公選法二〇四条の規定に基づき、本件選挙の北海道一区における選挙を無効とする旨の判決を求める。

二被告の本案前の主張

本件訴えは、次に述べるとおり、不適法な訴えであるから却下を免れないものである。

1  公選法上の選挙訴訟の法的意義

公選法の選挙の効力に関する訴訟(公選法二〇三条ないし二〇五条)は、選挙の管理執行機関の公職選挙法規に適合しない行為を是正し、選挙の執行の公正の維持を目的とする典型的な民衆訴訟(行政事件訴訟法五条参照)であるから、法律に定める場合において、法律に定める者に限り提起することができる(同法四二条)ものであつて、それ自体当然に、個人の具体的権利義務に関するいわゆる法律上の争訟として司法権の範囲に属するものではなく、法律において特に定められた場合に、裁判所の権限として裁判所に付与されるところの特別の訴訟である(裁判所法三条一項)。

しかも、右訴訟の性格上、裁判所の権限は、一般の民事、行政事件訴訟に関する司法本来の裁判権に比較して特に狭く限定されているものである。

2  本件訴訟の公選法上の問題点

(一) 公選法の予定する衆議院議員の選挙の効力に関する訴訟は、公選法二〇四条の規定によるもののみであつて、現行法体系の下においては、同条の規定による以外の方法の選挙訴訟の提起は許されていない。しかも、右の訴訟においても、裁判所は、公選法二〇五条によつて、当該選挙が「選挙の規定に違反」し、かつ「選挙の結果に異動を及ぼす虞がある場合に限り」選挙の全部又は一部の無効を判決することができるに過ぎないのである。

そして、ここでいう選挙の無効原因である選挙の規定違反とは、選挙の管理執行に関する手続規定に違反した場合のほか、明文の規定に違反しなくても、選挙の自由公正が著しく阻害された場合も含むとされているが、いずれにしても、訴えが、選挙法規の違反とそれが選挙の結果に影響を及ぼすおそれがあることを理由に当該選挙の無効を争う限度においてのみ許されるものである。

(二) しかも、現行法の予定する訴訟は、民衆訴訟としての本質(行政事件訴訟法五条)及び公選法一〇九条の規定の解釈からして、選挙法規及びこれに基づく選挙の当然無効を確定する趣旨のものではなく、選挙管理委員会が法規に適合しない行為をした場合にその是正のため当該選挙の効力を失わせ、選挙管理委員会に対し、あらためて再選挙を行うことを義務づけるところにその本旨があるのであつて、右訴訟で争いうる選挙の規定違反も、当該選挙区の選挙管理委員会が、選挙法規を正当に適用することにより、その違法を是正し適法な再選挙を行いうるもの、すなわち当該選挙管理委員会の権限に属する事項の規定違反に限られるのである。したがつて、選挙管理委員会においてこれを是正し適法な再選挙を実施することができないような議員定数配分規定自体の違憲を主張して選挙の効力を争うことは到底許されないというべきである。

(三) また、公選法二〇四条の訴訟によつて選挙が無効とされた場合の再選挙はこれを行うべき理由が生じた日から四〇日以内に行わなければならず(公選法一〇九条四号、三四条一項)、しかも再選挙の期日は、少なくとも一五日前に告示しなければならない(同法三四条六項三号)。仮に、議員定数配分規定の違憲無効を理由として選挙が無効とされて再選挙を行う場合には、違憲無効とされた定数配分規定に基づいて再選挙を行うことは許されないので、まず右配分規定の改正を行わなければならないことになる。しかし、議員定数の配分の是正そのものは種々の政治的利害の対立を伴う極めて困難な問題であるから、わずか二五日間でその改正を行うことは事実上不可能であり、選挙管理委員会としては、同規定が立法府において改正されるまで再選挙を延期せざるを得ないこととなる。

しかし、前述のとおり、選挙管理委員会は、公選法により、四〇日以内に再選挙を行う義務を負つているところ、配分規定が違憲無効であるとの点についての判決の拘束力(行政事件訴訟法四三条一項、三三条一項)に従う限り公選法三四条一項の規定に違反せざるを得ず、他方、右規定に従おうとするときは、違憲無効な議員定数配分規定に基づいて再選挙を行うことを余儀なくされるので、判決の拘束力を無視せざるを得ないというジレンマに陥ることとなる。

この場合、選挙管理委員会としては、違憲無効とされた議員定数配分規定に基づいて再選挙を行うことは違法な選挙を繰り返すこととなつて不合理であることが明らかであるから、結局議員定数配分規定が憲法に適合するように改正されるまで再選挙を延期せざるを得ないことになると思われるが、その場合には、その間、国権の最高機関の一部の存立を否定する結果になり、また判決の内容いかんによつては、憲法五六条一項所定の衆議院の定足数を実質的に充足しえない事態を引き起こす可能性すらあり、国権の最高機関たる国会の正常な運営が著しく阻害されることとなる。

(四) 以上(一)ないし(三)においてるる検討した本件訴訟に関する公選法上の諸々の問題点は、究極のところ、現行公選法が、本件のような訴訟を到底予定していないところから生じてくるのであつて、議員定数配分規定自体の違憲、無効を主張する訴訟は、現行法体系の規定の仕方、民衆訴訟の本質から、公選法二〇四条の拡張解釈としてもその限界を超えるものとして、同法によつては許容されないものというべきである。

なお、最高裁判所昭和四九年(行ツ)第七五号昭和五一年四月一四日大法廷判決(民集三〇巻三号二二二頁)は、本件のような訴訟につき、公選法二〇四条に基づく出訴を容認し、その理由づけとして「右訴訟において議員定数配分規定そのものの違憲を理由として選挙の効力を争うことはできないのではないか、との疑いがないではない。」としつつも、「公選法の規定が、その定める訴訟において、同法の議員定数配分規定が選挙権の平等に違反することを選挙無効の原因として主張することを殊更に排除する趣旨であるとすることは」、当を得た解釈ではないとした。

しかしながら、大法廷判決の右のような考え方は、公選法二〇四条の立法目的、立法の趣旨に反するもので到底正当とはいい難い。すなわち、前に述べたとおり、選挙訴訟は、典型的な民衆訴訟であつて、「法律に定める場合において」のみ提起できるのであるから、法律の規定のない以上訴訟の提起の道はなく、法律が新たにこれを認める特別の争訟制度を採用しない限り、不適法なものとして却下されるべきである。裁判所が国民の期待に応ずるといつても、それは法定の権限に基づき、その範囲においてのみなし得ることであつて、これを踏み超えることは、かえつて国民の真の期待と信頼に反することになる。

しかも、本件訴訟において原告が真に意図するところは、公選法の予定している当該選挙区の選挙を無効として再選挙の施行を求めることを直接の目的とするものではなく、むしろ、裁判所の判決による影響力を通じて、公選法の改正をしなければならないところへ立法機関を追い込むことにあるというべきであつて、形式的には訴訟の形態を採るものの、その実体は、裁判所に対する出訴を媒介として、立法機関に対して法律の改正を迫る政治行動として理解すべきものである点に留意しなければならない。

3  本件訴訟を司法権の対象としない理由(アメリカ、西ドイツの裁判制度との対比において)

(一) そもそも、本件のような事態に対して、現行法上、救済手段が存在しないことについては、それなりの正当理由がある。

すなわち、衆議院の議員定数配分規定の問題は、元来、高度の政治的、技術的要素が絡むものであるから、本来的に立法による解決が期待され、司法もこれを尊重し、自己抑制作用の強く働く分野である。更にわが国における伝統的な司法制度及び現在の裁判所の権限から選挙訴訟制度をみるに、法律は、裁判所がこの問題に立ち入ることを回避すべきであるとしたものと思われるのである。

(二)(1) 西ドイツの連邦選挙法、更にはアメリカにおいては、議員定数配分規定の違憲無効を理由とする選挙訴訟が認められ、裁判所も憲法判断を行つている。

しかし、以下のとおりこれら諸外国の選挙訴訟制度は、わが国のそれとは根本的に異なるのであるから、これらの国において是認されているとの理由によつて、直ちにわが国の裁判制度においてもこの種の訴訟が是認されて然るべきであるということにはならない。すなわち、わが国における選挙訴訟は既に施行された選挙の効力を争い、再選挙の実施を求めるものであつて、裁判所の権限も無効を宣言するにとどまるものである。

(2) ところが、アメリカにおいては、議員定数、選挙区割等を定めているいわゆる配分法の効力を裁判所において争うことができるが、この場合、出訴者たる原告は、具体的な選挙と関係なく配分法の規定自体の合憲、違憲を争うことができ、このため、裁判所は、いわゆる職務執行命令や差止命令等の衡平法上の救済権限を与えられている。したがつて出訴者は当該配分法によつて行われた選挙の効力を争うのではなく、配分法自体の無効宣言とその定めに従つて行われる次の選挙を阻止するための差止命令を訴求するのが通常である。しかもその救済方法は極めて弾力的であつて、例えば、現行の議員定数配分を違憲と判断した場合においても、その定数配分によつて選出され現に議員である者の地位を奪うことはほとんどなく、違憲とされた当該定数配分によつて次の選挙が行われることを禁止するにとどまる。そして、仮に次の選挙が差し迫つているときは、違憲とされた定数配分による選挙を許すとともに、違憲とされる選挙によつて選出された議員の任期を制限し、更にはそれら議員による議会の権限を定数配分のための立法措置を講ずることに限定することもできるのである。あるいはまた右のように救済の延期を許さないで裁判所が自ら配分表を定め、それによつて選挙を行うことを命ずることさえできるとされている。

(3) 次いで、西ドイツにおいては、連邦選挙法において、選挙区の平均人口の差が、多くても少なくても三分の一を超えてはならないとの実体法上の客観的基準が明定されている(同法三条三項)。そして、現実の定数配分が同法に違反し、更には違憲でもあると選挙人が考えた場合、選挙人は、連邦憲法裁判所法に基づき、この種、定数配分の違憲無効を、いわゆる憲法訴願手続の中で、争うことができるのであるが(同法九五条一項、なお連邦憲法裁判所一九六三年五月二二日第二部決定、BverfGE16,130参照)、その場合、当該定数配分が、連邦選挙法ないし基本法に違反すると連邦憲法裁判所が認めれば、同裁判所は同配分が基本法を侵犯している旨確認することができるのである(同法九五条一項)。そして、ラント選挙法が連邦選挙法に違反し、連邦選挙法が基本法に違反するなど法律が基本法等に違反するとの憲法訴願が認容される場合には、当該法律の無効も宣言できるのであり(同法九五条三項)、その場合、右無効宣言は法律的効力を有する旨明定されている(同法三一条二項、一三条八号a)。このように西ドイツにおける選挙訴訟制度は、あらかじめ明文の規定によつて、実体法上違憲かどうかの判断基準が設定されている上、手続法上その訴訟の方式、判決(決定)の効果等も定められているのである。しかも、解釈論としては、連邦憲法裁判所は、連邦憲法裁判所法三五条に基づき、新しい選挙法を作成し、新しい選挙を施行することも可能であるとされているのである。

以上のようにこれら諸外国においては、我が国とは異なり、この種の選挙訴訟が制度的に認められているものである。

4  以上の次第で、議員定数配分規定の違憲無効を理由とする選挙無効の訴えは、公選法二〇四条の予想するところではなく、現行法における民衆訴訟の本質に反するところであるから、同条の拡張解釈としても選挙無効の訴えを提起することはできず、そのような訴えのための実定法規が制定されていない現行法制度の下においては、原告の本件訴えは、不適法として却下されるべきものである。

三請求原因に対する答弁

一項及び二項の事実は認める。三項は争う。

四本案についての被告の主張

1  議員定数配分と国会の裁量権について

(一) 投票価値の平等は憲法上の権利ではない。

(1) 代表民主制における議員の選出

憲法の要請する代表民主制(近代議会制民主主義)は、選挙制度において、国民代表の的確な選任のほか、政治的少数者の擁護、政局の安定を要請しているところから、議員定数配分の決定は、単なる数字の操作で解決できない高度の政治的、技術的要素を含んでいることは、歴史の証明するところである。

例えば、選挙区割の基となる都道府県、市町村は、地方自治の根幹をなしており、したがつて、都道府県、市町村を選挙区とする衆議院議員は、「全国民の代表者」ではあることは当然のこととして、同時に選挙区を通じて選挙人の事情をよく知り、その希望なり意思をよく心得ているところから、地域住民の意思を有効適切に国の施策に反映させるため正しく行動できる立場にある者であつて、その意味において地域代表的性格をも兼ね備えているのである。また、近年の人口の都市集中化の現象は、経済的、文化的などの諸利益が都市部に集中しているために生じたものであるが、このような都市への人口の集中化が急激に生ずることは多くの弊害やゆがみを伴うものであり、社会政策的あるいは経済政策的にみて、必ずしも望ましいこととはいい難い。ところで、人口の集中した都市は、元来、それ自体政治的に大きな影響力を行使し得る可能性を有するものであるにもかかわらず、更に、人口数に応じて、投票権の完全な平等が実現されると、その政治的影響力はますます増大し、過疎地域に比し著しく坪衡を失することとなり、政治的、経済的、文化的等の各種の利益がますます都市部にのみ集中し、過疎地域との間の地域的不均衡が実質的に拡大する結果となる。

したがつて、このような不均衡を是正し、過疎地域の意思を有効適切に国の施策上に反映させるためには、政治的影響力の実質的平等に確保という見地から、過疎地域に対し、過密地域よりその投票価値を大きくするという考え方も十分に正当性を有する政治的課題となり得るものである。

このように、代表民主制の下における選挙制度は、多元化する国民の政治的意思・思想・世界観とその対立、多種多様な利益集団間や都市部対農村部間の対立等を通じて表出する多種多様な国民の利害や意見を公正かつ効果的に国政の運営に反映させることを目標とし、他方、政治における安定の要請を考慮しながら、それぞれの国の政治状況に照らし、多種多様で複雑微妙な政策的及び技術的考慮の下に全体的、総合的見地から考察し、適切に調整した上で決定されるべきものであつて、そこに論理的に要請される一定不変の形態が存するわけのものではない。我が憲法もまた、右の理由から、両議院の議員の各選挙制度の仕組みの具体的決定を、国会の裁量に委ねているのである。

したがつて、代表民主制下の選挙制度のかなめともいうべき、議員定数配分の定めは、以上の考察からも明らかなように、議員一人当たりの選挙人数の計数的平等を求めて人口較差によつて処理すれば足りるというものではなく、非人口的要素を加味して総合的に判断される多分に政治性を帯びるものであつて、ひつきよう国権の最高機関である国会の裁量権に、広く委ねざるを得ない分野の問題であるといわなければならない。

(2) 憲法上の規定の不存在

憲法一四条一項、四四条等の保障する選挙権の平等が、選挙権行使の平等、すなわち、一人一票の原則を保障するものであることは異論がない。

しかしながら、右各規定によるも、議員定数を選挙区別の選挙人の人口数に比例ないしはこれに準拠して配分すべきこと、すなわち、異なる選挙区間における投票価値の平等までをも積極的に命じたものと解することはできず、他に右趣旨を積極的に命じた規定は存在しない。

かえつて、憲法四三条二項、四七条は、議員の定数、選挙区、投票の方法、その他選挙に関する事項を法律で定める旨規定し、四四条ただし書(人種、信条、性別、社会的身分、門地、教育、財産、収入による差別の禁止)に反しない限り、原則として選挙に関する事項の決定を国会の裁量的権限に委ねる旨を宣言している。つまり、我が国の選挙制度として、憲法は、完全比例代表制を要請することなく比例代表制を含めていかなる制度を選択するかの裁量権を国会に与えているのである。

国会は、これを受けて我が国の選挙制度として、比例代表制を採用することなく、いわば、異なる選挙区間における投票価値の完全な平等を満たすことの極めて困難な中選挙区単記投票制を採用したのである。

(3) 以上のとおり、中選挙区単記投票制を採用したうえで、各選挙区にいかなる割合で議員数を配分するかは、立法府である国会の権限に属する立法政策の問題である。選挙は、その一四条、四四条その他の各条項の上からも、一つの選挙区において有権者の投票が計算上の平等取扱いをなすべきことを規定するにとどまるものであつて、それ以上のものでなく、異なる選挙区間における投票価値の平等の実現は、法の下の平等の原則からいつて望ましいことであるという程度の立法政策の問題としてとらえているにすぎないことに尽きるものである。

このようにして、憲法が、異なる選挙区間における投票価値の平等まで要求していると解することはできないのである。

(二) 裁量の範囲

仮に、国会の前記裁量権が無制限なものでなく、すなわち、合理的裁量の範囲を超えた場合には違憲無効となるとした場合においても、前記の諸事情を考慮すれば、その裁量の幅はすこぶる広いものと解すべきである。

前記の選挙制度をとりまく極めて多方面にわたる配慮を必要とすることに照らすと、具体的に、どのように選挙区を区分し、それぞれに幾人の議員を配分するかを決定するについては、各選挙区の選挙人数又は人口数と配分議員定数との比率の平等が、重要かつ基本的な基準とされるべきことは当然であるとしても、それのみでは十全なものでなく、それ以外にも、実際上考慮され、かつ、考量されてしかるべき要素は少なくない。殊に都道府県は、それが従来我が国の政治及び行政の実際において果してきた役割や、国民生活及び国民感情の上におけるその比重にかんがみ、選挙区割の基礎をなすものとして無視することのできない要素であり、また、これらの都道府県を更に細区分するにあたつては、市町村は区分しないとか、飛地は作らないなど、従来の選挙の実績や、選挙区としてのまとまり具合、市町村その他の行政区画、面積の大小、人口密度、住民構成、交通事情、地理的状況等諸般の要素を考慮し、配分されるべき議員数との関連を勘案しつつ、具体的な決定がされるものと考えられているものである。更にまた、社会の急激な変化(その一つのあらわれとしての人口の都市集中化の現象と過疎地対策など)などをどのように評価し、政治における安定の要請をも考慮しながら、これを選挙区割や議員定数配分にどのように反映させるかが重要なこととなる。すなわち、当該地域の歴史的沿革とか地域住民の生活感情、経済・社会生活の実態その他のいわゆる非人口的要素にも十分な考慮を要するものといわなければならないものとなる。

ところで、これらの人口的、非人口的諸要素のそれぞれをどの程度考慮し、これを具体的決定に当たりどこまで反映させることができるかについては、もとより厳密に一定された客観的基準が存在するわけのものではないから、結局は、国会の裁量権の合理的な行使に期待するしかなく、かつその裁量の幅はすこぶる広いものといわなければならない。そして、その裁量権の行使が合理的か否かの判断をするに当たつては、人口数又は選挙人数にのみとらわれることなく、右非人口的要素のもつ役割の大きさに十分な配慮をしなければならないこととなる。

2  人口較差の判断基準について

(一) 何をもつて較差対比の基準とすべきか。

憲法が異なる選挙区間の投票価値の平等までをも要請していないことは前述のとおりであるが、仮にそれを肯定しても本件で問題となるのは、議員一人当たりに配分すべき人口又は選挙人の数の問題ではなく、ある基準点からのかい離が憲法上不合理な差別といえるか否かの問題である。

ところで、右投票価値の平等の要請は、選挙人が投票価値において平均的な中庸を得た投票権を享有することを理想としているものと解すべきである。このことは、戦後、中選挙区制を初めて採用した衆議院議員選挙法の一部を改正する法律(昭和二二年法律第四三号)による衆議院議員選挙法(大正一四年法律第四七号)の改正の際、議員総定数を四六六人とし、当時の総人口当たりの平均値である人口一五万六八九七人につき議員一人とした事実からもうかがわれる。

ゆえに、その後の人口移動によつて、当初の人口数による定数配分の平均性が崩れたということは、出発点において設定された平均的な定数配分からのかい離の問題であり、それは、その時の平均値を示す選挙区を基準として評価された問題でなければならないものである。

したがつて、憲法の要請している選挙権の平等とは、平均的で中庸を得た大多数の選挙区との対比からみて、明らかに過多ないし過少の異常性を生じた一部の選挙区の平均的選挙区との対比上の是正の問題であると考えれば十分である。すなわち、定数配分において、最大過密区が最大過疎区にまで是正されるのではなく、平均値に接近する形で是正されれば十分であることを意味するとともに、その人口較差の対比については、全国の人口ないしは選挙人数を全議員定数で除した全国平均議員一人当たりの人口、いわゆる全国平均値と対比すべきであつて、選挙区間の議員一人当たり人口の最大値と最小値との対比によつて判断すべきでないことを意味する。

このようにして、通常の場合、人口数による定数配分が平均的であつて中庸を得ている大多数の選挙区には、何ら違憲の状態が生じていないといわなければならない。

(二) 以上のことからして、本訴において、北海道一区の議員定数の定めが投票価値の平等に違反しているかどうかを判断するに当たつては、本件選挙時の最大過疎区(兵庫五区)と最大過密区(千葉四区)ないしは北海道一区との対比で違憲性の有無を決すべきではなく、全国平均値を基準として、憲法に違反するに至つたかどうかを判断すれば足り、またそうすべきものである。ところで、昭和五五年国勢調査を基準とする本件選挙時の北海道一区の全国平均値からの較差は1.76倍にすぎないものであつたから、かかる程度の較差は前に述べた非人口的要素を考慮すると合理性を有するものと認められるところであつて、違憲の問題を生ずる余地はないのである。

3  いわゆる合理的期間論について

仮に、異なる選挙区間における投票価値の平等もまた、憲法の要求するところであり、かつ、本件選挙時の選挙区間における議員一人当たりの選挙人数あるいは人口数の較差が憲法の選挙権の平等の要求に反する状態にあつたとしても、右状態は、昭和五〇年における議員定数配分規定の改正後における人口の漸次的異動によつて生じたものであるところ、本件議員定数配分規定について憲法上要求される合理的期間内に是正されなかつたとはいえないものである。

(一) いわゆる合理的期間論は、最高裁判所昭和五一年四月一四日大法廷判決(民集三〇巻三号二二三ページ)において初めて登場した理論である。すなわち、制定又は改正当時憲法に適合していた議員定数配分規定が、その後における漸次的な事情の変化により、その合憲性の要件を欠くに至つた場合に、いかなる時点で違憲となるに至つたものと断ずべきかについては慎重な考慮がはらわれなければならないのであって、違憲判断に際しての時的基準を示したものとして正当と考えられる。

(二) しかしながら、この合理的期間論の具体的な要件は、右判決の判文自体に徴しても必ずしも明らかではない。昭和五八年一一月七日の大法廷判決の判示によれば、同判決は、議員定数配分規定が憲法上要求される合理的期間内に是正されたといえるかどうかを判断するに当たつて、その前提となる不平等状態に至つた時点、すなわち、いつ、選挙区間における議員一人当たりの選挙人数あるいは人口数の較差が、投票価値の平等に反する程度に達したかを明確に判定することは極めて困難であり、不平等状態に達しているかどうかの判断は、国会の裁量権行使が合理性を有するか否かという極めて困難な事柄にかかるものであるところ、国会が速やかに適切な対応をすることは期待し難いこと、以上の二点を極めて重視していることが明らかである。このことは、同判決が右選挙当時の違憲判断の目安としては、五一年大法廷判決に示された選挙区間における議員一人当たりの選挙人数の最大較差約一対五しかなく、それを下回る較差の状態の下での国会の対応を期待することはより困難であるとの趣旨を述べていることからも明らかである。

ところで、選挙区間における議員一人当たりの選挙人数あるいは、人口数の較差が憲法の選挙権の平等の要求に反する状態に達したかどうかの判定が困難であるということは、立法府たる国会において右状態に達したことの認識を持つことが困難ということに帰着する。そして、立法の不作為によつて基本的人権が侵害されている場合に、国会がその侵害状態を除去するために具体的な立法義務を負つているというためには、国会において基本的人権の侵害の事実を現実に認識し、又は容易に認識しえた場合でなければならない。けだし、国会において右認識がないのにもかかわらず、右立法義務を認めようとするならば、国会に不可能を強いることになり不合理といわざるを得ないからである。

したがつて、いわゆる合理的期間論の要件の第一は、国会において、違憲状態に達したことを現実に認識し、又は容易に認識し得たかどうかである(なお、この場合の認識とは、個々の国会議員による事実の認識ではなく、組織体たる立法機関としての国会の認識をいうのであるから、客観的、規範的に評価せざるを得ないであろう。)。

第二に、前記昭和五八年の大法廷判決によれば、昭和五〇年の改正による公選法の公布時から五年、施行日から三年半のうちのある時期から違憲状態が生じたとしても、期間そのものが短期間であり、その間の改正を期待し得ず、したがつて、いまだ合理的期間は経過していないとしたことが認められるから、改正時から選挙時までの期間の相当性も、いわゆる合理的期間論の重要な要件の一つといえる。そして、期間の相当性の判断に当たつては、期間の長短のみならず、選挙区における議員一人当たりの選挙人数あるいは人口数の較差の程度、議員定数配分規定を改正することによつて、政治における安定の要請に及ぼす影響の有無、及び国会における他の優先案件の処理の有無等を考慮しなければならない。

(三) そこで、以上の見地に立つて、本件について議員定数配分規定が憲法上要求される合理的期間内に是正がされなかつたかどうかについて、検討する。

(1) まず、国会が、昭和五〇年の議員定数配分規定について、選挙区間における議員一人当たりの選挙人数あるいは人口数の較差が投票価値の平等に反する状態に至つていたと認識しあるいは認識しうべきであつたかであるが、投票価値の平等に反する状態かどうかの判断は本来国会が自律的に判断すべきものであるが、その判断は前記のとおり判然と確定し難い困難な判断であるため、その重要な判断資料である裁判所の判断によらざるを得ないところ、裁判所の判断としては次のものがあつた。すなわち、昭和五一年一二月五日実施の選挙につき、東京高等裁判所昭和五三年九月一三日判決(行裁例集二九巻九号一六二一ページ)は、1対3.5の較差をもつて違憲としたが、東京高等裁判所昭和五三年九月一一日判決(行裁例集二九巻九号一五九六ページ)及び国家賠償請求訴訟ではあるが、東京地方裁判所昭和五二年八月八日判決(判例時報八五九号三ページ)は、違憲といえないと判断し、また、昭和五四年一〇月七日実施の選挙につき、国家賠償請求訴訟ではあるが札幌地方裁判所昭和五六年一〇月二二日判決(判例時報一〇二一号二五ページ)は、1対3.16あるいは1対3.32の較差の存在をもつて客観的明白に違憲といえないと判断していた。さらに、昭和五五年六月二二日実施の選挙につき、東京高等裁判所昭和五五年一二月二三日判決(行裁例集三一巻一二号二六一九ページ)及び大阪高等裁判所昭和五七年二月一七日判決(行裁例集三三巻一・二号四二ページ)は、1対3.94の較差の存在をもつて違憲としたが、五八年大法廷判決は、右較差をもつて憲法の選挙権の平等の要求に反する程度に至つていたと判断していた。

そこで、まず、昭和五三年九月一三日時点において、1対3.5の較差を違憲とする裁判所の判断がなされたので、その時点で国会も前記認識を有したといえそうであるが、他方同一較差につき異なる裁判例も存在していたから、その時点をもつて前記国会の認識を肯定することはできない。

次に、昭和五五年一二月二三日の時点における右認識の有無であるが、東京高等裁判所判決は、「おおむね一対二を超える」議員定数配分規定を違憲とする判断基準を設定した上で違憲と判断したものであるところ、かかる判断方法はそれに先立つ五一年大法廷判決のそれとは質的に異なる上、判例としての事実上の拘束性も劣るから、到底採り得ない判決であつたというべきであるから、右判決によつて直ちに国会に前記認識を肯定することもできないというべきである。

そうすると、結局国会としては、昭和五八年一一月七日に大法廷判決が下されて初めて右五一年大法廷判決の示した最大較差約一対五を下回る較差について、選挙権の平等に反する状態にあつたとの認識を持つことができたというべきであり、仮に、そうでなく昭和五七年二月一七日の大阪高等裁判所判決が下された時点で認識すべきであつたとの見解もあり得るかもしれないが、右判決は確定したものではなく、上告審に係属中であつたことからすれば、右時点で認識すべきであるというのは困難であつたといわざるを得ない。

しかも、選挙区間の較差に影響を及ぼすべき議員の定数、選挙区及び各選挙区において選挙すべき議員の数は、憲法の要請する代表民主制の下における選挙制度そのものが国民代表の的確な選任、政治的少数者の擁護、政局の安定を要請していることから、単なる数字の操作によつて解決することのできない高度の政治的、技術的要素を含む事項であり、議員定数配分規定の改正に当たつては、各政党、議員の政治的配慮等から種々の是正案が提案されることは避け難く、各政党及び国会において多大の時間と労力を費やして準備作業が進められ、法案審議が行われるのであり、このことは、昭和三九年に公布された公職選挙法の一部を改正する法律(昭和三九年法律第一三二号)及び昭和五〇年改正法が成立するまでの経過をみても明らかである。

(2) ところで、昭和五八年大法廷判決前後の政治状況をみるに、同年一〇月一二日の東京地方裁判所のロッキード丸紅ルート刑事判決を契機として、国会審議は著しく混乱し、ついに同年一一月二八日衆議院が解散となり、同年一二月三日公示、同月一八日投票と決定されたため、国会においては右大法廷判決後右解散に至るまでの間に、本件議員定数配分規定を改正することはおよそ時間的に不可能であつたといわなければならない。

仮に、昭和五七年二月一七日の前掲大阪高等裁判所判決の言渡し時点で、国会において較差が憲法の要求する投票価値の平等に反する状態に至つたと認識すべきであつたとしても、当該時点から本件選挙時までの期間は、約一年一〇月にすぎないところ、較差の程度及び政治における安定の要請を考慮すればその期間は改正のために相当な期間というのには余りに短時日すぎるといわざるを得ない。

以上の点に加えて五八年大法廷判決後第一〇一回国会においては総理大臣施政方針演説の中で、各党、各派の今後の合意に基づき具体的な成果が挙がるよう政府としても努力することを表明し、また、各党においても、それぞれの是正案が提案ないしは検討されているところである。これらの事情を総合的に考えると、いまだ議員定数配分規定が憲法上要求される合理的期間内に是正がされなかつたとはいえないというべきである。

4  以上述べたとおり、異なる選挙区の投票価値の平等は憲法上の権利ではなく、異なる選挙区間における投票価値の平等をいかに取り扱うかは国会の裁量の下にあるといわなければならない。そしてその裁量の判断基準は、人口数ないしは選挙人数のみに重きをおくものでなく、非人口的諸要素をも十分配慮して決定されるべきものであることを合わせ考えると、国会の裁量権は極めて広いものと解すべきものである。

また、人口数対比においても全国平均値を基準として判断すべきであり、安易に最大過疎、最大過密選挙区どうしの対比(最大較差値)であつてはならない。

以上の次第で、本件議員定数配分規定は、改正当時はもとより、その後においても国会の合理的裁量の範囲内であつたことは明らかであり、仮にそうでないとしても前記のごとく本件選挙に至るまでに改正することは、期待できない期間と状況の下にあつたことからすれば、本件選挙までの間にその是正のための改正がなされなかつたことをとらえて、憲法上要求する合理的期間内における是正がなかつたと断定することはできないものというべきである。

最後に、仮に、本件議員定数配分規定が憲法に違反し、したがつて、これに基づいて行われた選挙が憲法の要求に沿わないものであるとしても、事情判決の法理を援用することによつて、選挙自体はこれを無効としない取り扱いが判例上定着しており、それはそれなりの意義を有するものであつて、本件においても前記五八年大法廷判決以後の国会を取り巻く政治環境及び前記判決言渡後選挙に至るまでの期間をしんしやくするとき、定着した右判例の流れを逸脱することがあつてはならないものであることを主張する。

第三  証拠〈省略〉

理由

第一  本件訴えの適否について

一請求原因1(原告の地位)、2(本件選挙の施行)の事実は、当事者間に争いがない。

原告は、本件選挙当時、本件定数配分規定が憲法に違反していたことを理由として本件訴えを公選法二〇四条に基づく選挙無効訴訟として提起しているものであるところ、本件訴えが同条所定の選挙の日から三〇日の期間内に当裁判所に提起されたものであることは本件記録上明らかである。

二そこで、被告の本案前の主張について判断するに、公選法二〇四条の規定による衆議院議員の選挙の効力に関する訴訟は、元来、公選法の規定に違反して執行された選挙の効果を失わせ、改めて同法に基づく適法な再選挙を行わせること(同法一〇九条四号)を目的とするものであり、同法の下において適法な再選挙の実施が可能であることを予定したものであるけれども、議員定数配分規定そのものの違憲は、選挙が公選法の規定に違反して執行されたこと以上に重大な選挙に関する法的瑕疵であること、選挙権の平等は、国民の基本的権利であつて、およそ国民の基本的権利の侵害に対しては、できるだけその是正、救済の途を認めるのが憲法上の要請であること、右の訴訟は、現行法上選挙人が国会議員の選挙の効力を争うことのできる唯一の訴訟であつて、他に訴訟上公選法の規定自体の違憲を主張してその是正を求める方法はないこと、右の訴訟に関する前記公選法の規定も、議員定数配分規定の違憲を選挙無効の原因として主張することをことさらに排除する趣旨であるとは考えられないことを考慮すれば、右の訴訟において、議員定数配分規定が選挙権の平等に関する憲法上の要求に反し、違憲であることを選挙の無効事由として主張することができるものと解すべきである(最高裁判所昭和四九年(行ツ)第七五号昭和五一年四月一四日大法廷判決・民集三〇巻三号二二三頁参照)。よつて、本件訴えは適法であり、右の点に関する被告の主張は、採用することができない。

第二  本案についての判断

一  憲法と選挙人の投票価値の平等

1日本国憲法上、国政は、国民の信託に基づき、国民の代表者が行うものであり(前文一項)、国権の最高機関である国会は、全国民を代表する選挙された議員で組織する衆議院及び参議院で構成するものとされている(四一条、四二条、四三条一項)。そして、この国会の両議院の議員を選挙する権利、すなわち、選挙権は、主権者である国民の国政への参加の機会を保障する最も重要な基本的権利として、憲法の採用する議会制民主主義ないし代表民主制の根幹をなすものであるところ、憲法は、すべて国民は法の下に平等であるとして平等原則を定める(一四条一項)とともに、右の平等原則の政治の領域における適用として、国会の両議院の議員を選挙する権利を国民固有の権利として成年者である国民のすべてに保障し(一五条一項、三項)、右の議員を選挙する者の資格は人種、信条、性別、社会的身分、門地、教育、財産又は収入によつて差別してはならない(四四条ただし書)旨をそれぞれ規定している。これらの規定の趣旨及び近代国家における国民の政治的権利についての平等原則の確立の歴史的沿革等に照らすと、憲法は、選挙人の資格についての差別の禁止のみならず、選挙権の内容の平等、すなわち、各選挙人の投票価値の平等をも要求しているものと解するのが相当である。そして、代表民主制の下においては、国民の政治的権利は、原則として選挙された代表者を通じて行使され、国民の代表者として選挙された議員で組織される国会の両議院の議事は、原則として議員の多数決によつて決せられる(憲法五六条二項)ことに徴すれば、このような選挙人の投票価値の平等は、単に同一の選挙区の選挙人相互間において存在する必要がある(公選法三六条参照)だけでなく、全国を複数の選挙区に区分し、各選挙区ごとに議員を選出する方法を採用する場合においては、異なる選挙区の選挙人相互間においても存在する必要があるものというべきであり、異なる選挙区の選挙人相互間における投票価値の平等は、結局のところ、選挙区の選挙人数又は人口と当該選挙区において選挙されるべき議員数の比率の平等、すなわち、議員一人当たりの選挙人数又は人口の平等によつて実現されるべきものであるというべきである。

2しかしながら、選挙人の投票価値は、具体的な選挙制度の仕組みと密接に関連し、その仕組みのいかんにより制度的ないし技術的な理由から投票価値にある程度の差異が生ずることがあることは免れないから、右にいう投票価値の平等は、各投票が選挙の結果に及ぼす影響力が計数上完全に同一であることまでも要求するものということはできない。また、憲法は、国会の両議院の議員の選挙については、議員の定数、選挙区、投票の方法その他選挙に関する事項は法律で定めるべきものとし(四三条二項、四七条)、両議院の議員の具体的な選挙制度の決定を原則として国会の裁量に委ねている。したがつて、憲法は、投票価値の平等を具体的な選挙制度の決定について国会が考慮すべき唯一絶対の基準としているわけではなく、国会は、衆議院及び参議院のそれぞれについて他にしんしやくすることのできる政策的及び専門技術的な要素等諸般の事項をも考慮して代表民主制の趣旨にかなつた適切な選挙制度をその裁量により決定することができるものというべきであるが、前示のような選挙権の国民の政治的権利としての重要性及び選挙権の平等の確保についての憲法の要求に鑑みると、投票価値の平等は、選挙制度を決定するについて最も重要かつ基本的な考慮要素とされるべきものと思料されるから、国会が定めた具体的な選挙制度の下において選挙人の投票価値、すなわち、議員一人当たりの選挙人数又は人口に不平等が存し、それが国会において通常考慮しうる諸般の要素をしんしやくしてもなお一般的に合理性を有するものとは考えられない程度に達しているときは、右のような不平等は、もはや国会の合理的裁量の限界を超えているものと推定され、これを正当化すべき特別の理由が認められない限り、憲法の要求に反するものと判断されざるをえないものというべきである。

二  本件議員定数配分規定と選挙権の平等

1公選法は、衆議院議員の選挙についていわゆる中選挙区単記投票制を採用し、議員定数配分規定は、各都道府県を一個ないし数個の選挙区に区分し、公選法別表に定める各選挙区において同別表に定める三人ないし五人の議員を選挙すべき旨を定め、各選挙区及び各選挙区で選挙すべき議員数は、公選法施行の日から五年ごとに、直近に行われた国勢調査の結果によつて更正するのを例とするものとしている。

右のいわゆる中選挙区単記投票制は、候補者と地域住民との密接な関係を考慮し、また、原則として選挙人の多数の意思の反映を確保しつつ少数者の意思を代表する議員の選出をも可能ならしめようとする趣旨に出た選挙制度であり、右の制度の下において選挙区割を決定するに当たつては、地域の行政区画としての一体性、面積、地理的条件、交通事情、経済的、社会的なまとまり、歴史的沿革等のいわゆる非人口的ないし政策的要素を考慮することができるものというべきであるが、前示の選挙権の国民の政治的権利としての重要性及び選挙権の平等の確保についての憲法の要求に鑑みると、選挙区割及び各選挙区で選挙すべき議員数の決定(以下「議員定数の配分」という。)にあたつては、議員一人当たりの選挙人数又は選挙区間の較差は、一定の限度を超えてはならないものというべきであり、右の較差が著しく、各選挙区の議員一人当たりの選挙人数又は人口に極端な不平等が生じているときは、これを正当化すべき特別の理由が認められない限り、右の不平等は、選挙権の平等に関する前示の憲法の要求に反するものといわなければならない。

2〈証拠〉によれば、本件選挙における各選挙区の選挙すべき議員数(定数)、選挙人数、議員一人当たりの選挙人数、議員一人当たりの選挙人数が最小である兵庫県五区の議員一人当たりの選挙人数との比率、全国平均の議員一人当たりの選挙人数との比率は、別紙一記載のとおりであり、昭和五五年の国勢調査確定人口に基づく各選挙区の人口、議員一人当たりの人口、議員一人当たりの人口が最小である兵庫県五区の議員一人当たり人口との比率、全国平均の議員一人当たりの人口との比率は、別紙二記載のとおりであることが認められる。

右によれば、本件選挙における各選挙区の議員一人当たりの選挙人数は、最大である千葉県四区が三六万〇八九〇人、最小である兵庫県五区が八万一八六〇人であつて、その最大較差は1対4.41であり(なお、北海道一区の議員一人当たりの選挙人数は、二九万七五九六人であつて、北海道一区と右の最小区との較差は1対3.64である。)、また、前記の国勢調査確定人口に基づく各選挙区の議員一人当たりの人口は、最大が千葉県四区の四九万九七六三人、最小である兵庫県五区が一一万〇〇五一人であつて、その最大較差は1対4.54である(なお、北海道一区の職員一人当たりの人口は、四〇万二六二二人であつて、北海道一区と右の最小区との較差は、1対3.66である。)。

以上のような投票価値の較差は、前示の投票価値の平等についての憲法の要求の趣旨に照らし著しいものというべきであつて、国会が議員定数の配分を決定するについて考慮することができる諸般の要素を考慮に入れてもなお、国会の裁量権の行使として一般的に合理性を有するとは到底考えられない程度に至つているものというほかはなく(最高裁判所昭和五六年(行ツ)第五七号昭和五八年一一月七日大法廷判決・民集三七巻九号一二四三頁参照)、これを正当化すべき特別の理由は認めることができない。

そうすると、本件選挙当時生じていた投票価値の較差は、憲法の選挙権の平等の要求に反する程度に至つていたものというべきである。

三  是正のための合理的期間の経過

本件定数配分規定は、前記のとおり昭和五〇年法律第六三号による改正後のものであるところ、同法は、右改正前の定数配分規定の下においては、直近の昭和四五年一〇月に実施された国勢調査に基づく人口による選挙区間の議員一人当たりの人口の最大較差が1対4.84(兵庫県五区と大阪府三区間)に及んでいた(原本の存在及び成立に争いのない乙第五号証により認める。)ところ、これを1対2.92(兵庫県五区と東京都七区間)(原本の存在及び成立に争いのない乙第六号証により認める。)に縮少することを内容とするものであり、右改正の目的がもつぱら較差の是正を図ることにあつたことからすれば、右改正後の較差に示される選挙人の投票の価値の不平等は、前示の判断基準に照らし、国会の合理的裁量の限界を超えるものと推定すべき程度に達しているものとはいえない上、国会は、直近に行われた国勢調査の結果によつて更正するのを例とする旨の公選法別表第一の末尾の規定に従つて、直近に行われた前記国勢調査の結果に基づいて右改正を行つたものであることが明らかであることに照らすと、右改正前の議員定数配分規定の下における憲法の要求に反する著しい投票価値の不平等状態は、右改正によつて一応解消されたものと評価することができる(前記最高裁判所昭和五八年一一月七日大法廷判決参照)。

そうすると、前示の本件選挙当時における選挙人の投票価値の著しい不平等は、右法律改正後に漸次的に生じた人口変動によつて生じたものと推定されるところ、制定又は改左の当時憲法に適合していた定数配分規定がその後における人口の変動等漸次的な事情の変更により憲法に適合しない状態に至つた場合には、定数配分規定は、右のような事情の変更によつて直ちに憲法違反となるものではなく、憲法に適合しない状態が発生しているにもかかわらず憲法上要求されている合理的期間内にこれが是正されなかつた場合にはじめて憲法違反となるものと解すべきである(前記最高裁判所昭和五一年四月一四日大法廷判決参照)。

そこで、この見地から本件をみるに〈証拠〉によれば、昭和五〇年法律第六三号による改正の基礎となつた昭和四五年の国勢調査の後最初に行われた昭和五〇年の国勢調査確定人口による各選挙区の人口、議員一人当たりの人口、その最小区との比率、全国平均の議員一人当たりの人口との比率は別紙三のとおりであつて、各選挙区の議員一人当たりの人口は、最大が千葉県四区の四一万一八四五人、最小が兵庫県五区の一一万〇七四八人で、本件議員定数配分規定の下における各選挙区間の議員一人当たりの人口の最大較差は右の当時1対3.72に拡大していたこと、右の最大較差は、昭和五五年国勢調査確定人口によれば、さらに1対4.54に拡大したこと、また、本件定数配分規定の改正後に実施された衆議院議員総選挙について選挙当日の選挙人数によつて各選挙区間の議員一人当たりの選挙人数の最大較差をみると、昭和五一年一二月五日に実施された総選挙においては、1対3.50(兵庫県五区と千葉県四区との比率。以下この段落の最大較差の数値について同じ。)、昭和五四年一〇月七日に実施された総選挙においては、1対3.87、昭和五五年六月二二日に行われた総選挙においては、1対3.95、本件選挙においては前記のとおり1対4.41であつて、較差は長期間にわたつて漸次拡大していることが認められ、右事実によれば、本件定数配分規定は、憲法の選挙権の平等についての前示の判断基準に照らし、本件選挙よりも相当以前に憲法の選挙権の平等の要求に反する状態になつていたものと推認するのが相当である。そして、右事実に公選法が別表第一の末尾において同表はその施行後五年ごとに直近に行われた国勢調査の結果によつて更正するのを例とする旨を規定しているにもかかわらず、昭和五〇年の改正後本件選挙の時まで八年余にわたつてこの点についての改正は何ら行われていないことをも考え合わせると、一般に議員定数配分規定を頻繁に改定することは、政治における安定の要請から考えて相当でなく、またその改定には、事柄の性質上法案の準備及び審議等にある程度の時間を要すること等を考慮しても、本件定数配分規定は、憲法上要求される合理的期間内にその是正がなされなかつたものといわざるをえない。

この点について、被告は、国会としては昭和五八年一一月七日の前記最高裁判所大法廷判決によつてはじめて本件定数配分規定が憲法の選挙権の平等の要求に反する状態にあることの認識を持つことができたものであり、右の時点から本件選挙の施行までに本件定数配分規定を改定することは時間的に不可能であつたから、いまだ憲法上要求される合理的期間内にその是正がなされなかつたものということはできないと主張するが、職員定数配分規定が憲法の選挙権の平等の要求に反する状態にあるかどうかは、立法機関である国会が同規定について法律改正を行うか否かを決するについてその前提として判断すべき事柄であつて、本来、司法判断をまつまでもなく国会が立法機関としての責任において自ら判断すべきものであり、本件定数配分規定が本件選挙より相当以前に憲法の選挙権の平等の要求に反する状態になつていたことは前示のとおりであつて、このことは前記最高裁判所の判決をまつまでもなく本件定数配分規定の施行後に実施された国勢調査の結果や人口の異動等に関する各種の統計資料等により本件選挙より相当以前に認識しえたものというべきであるから、被告の前記主張は採用することができない。

第三  本件選挙の効力

以上に説示したとおり、本件議員定数配分規定は、本件選挙当時憲法に違反する状態に至つていたものであるが、これによつて本件選挙の効力がどのような影響を受けるかについては、更に別途の考察が必要である。本件のような議員定数配分規定の違憲を理由とする選挙無効確認請求訴訟は、選挙の手続が公選法の規定に違反することを理由とする一般の選挙無効確認請求訴訟と異なり、その窮極的な目的は、議員定数配分規定が違憲である旨の司法判断を得ることによつて国会による議員定数配分規定の改正を期することにあるものと考えられるところ、本件選挙を無効とする旨の判決をしたとしてもこれによつて違憲状態が直ちに解消するわけではなく、その是正は、結局のところ、国会による議員定数配分規定自体の改正にまたなければならないのであり、他方、議員定数配分規定が違憲である旨の司法判断がなされれば、裁判所に違憲立法審査権が与えられている(憲法八一条)趣旨に照らし、国会が立法機関としての責任においてその是正のために所要の法律改正を行うことが制度的に期待できるのであるから、議員定数配分規定の違憲を理由とする選挙無効確認請求訴訟の目的は、その提訴に係る選挙区の選出議員の議員資格を失わせるという重大な結果を伴う選挙無効の判決をしなくても、本件議員定数配分規定の違憲を宣言することによつて一応達成することができるものと考えられること、選挙無効の判決をした場合、その提訴に係る選挙区の選出議員についてのみ選挙が無効とされる結果、同じ憲法違反の瑕疵を帯びる本件選挙において選挙された他の選挙区の議員の地位は有効に存続することとなつて彼此均衡を失することとなり、提訴に係る選挙区の選挙民のみが衆議院にその選出議員を欠いたまま本件定数配分規定の改正をはじめとする国会の活動が行われることとなつて、国民の政治的権利の平等を求める本件訴訟の目的にかえつて反する不公平かつ重大な結果が生ずることを考慮すれば、議員定数配分規定が違憲である旨を宣言した判決が確定したにもかかわらず、国会が相当期間その是正を怠つている等国会によるその是正を期待することができない特段の事情が認められない限り、国会が立法機関としての責任においてその是正を図ることに期待し、行政事件訴訟法三一条一項の規定に示されている一般的な法の基本原則に従い、本件定数配分規定が違憲であることを理由として直ちに本件選挙を無効とすることなく、本件請求を棄却した上、判決の主文において本件選挙が違法である旨を宣言するにとどめるのが相当である。そして、本件においては、いまだ、右の特段の事情が存することを認めるに足りる証拠はない(なお本件原告が住所を有する北海道一区は、いわゆる人口過密区であり、議員一人当たりの選挙人数の最小区との較差は著しいものがあるから、選挙無効の判決により本件定数配分規定の速やかな是正を求める事実上の利益はないとはいえないけれども、前示のとおり本件選挙が違法である旨を宣言するいわゆる事情判決によつたのでは国会による是正を期待することができない特段の事情が認められない以上、いまだ、本件請求を認容し、選挙無効の判決をすべきものと認めることはできない。)。

よつて、本件においては、本件選挙の北海道一区における選挙を無効とする旨の判決を求める原告の請求を棄却するとともに、判決の主文において右の選挙が違法である旨を宣言すべきである(なお、選挙関係訴訟について行政事件訴訟法三一条の規定を準用しない旨を定めた公選法二一九条の規定は、前記の一般的な法の基本原則の適用までも排除する趣旨のものではないと解する。)。

第四  結論

よつて、本件選挙の北海道一区における選挙を無効とすることを求める原告の本件請求を棄却した上、右選挙区における選挙が違法であることを宣言することとし、訴訟費用の負担につき行政事件訴訟法七条、民事訴訟法九二条ただし書の各規定を適用して主文のとおり判決する。

(奈良次郎 松原直幹 柳田幸三)

別紙一本件選挙における選挙区別選挙人数等〈省略〉

別紙 二 昭和55年国勢調査確定人口による衆議院議員選挙区別人口等

選挙区

定数

人口

議員1人

当たり人口

最小区

との比率

全国平均

との比率

北海道 1区

5

2,013,111

402,622

3.66

1.76

〃 2区

4

777,780

194,445

1.77

0.85

〃 3区

3

584,791

194,930

1.77

0.85

〃 4区

5

1,068,666

213,733

1.94

0.93

〃 5区

5

1,131,641

226,328

2.06

0.99

青森県 1区

4

978,215

244,554

2.22

1.07

〃 2区

3

545,692

181,897

1.65

0.79

岩手県 1区

4

839,094

209,774

1.91

0.92

〃 2区

4

582,833

145,708

1.32

0.64

宮城県 1区

5

1,505,767

301,153

2.74

1.31

〃 2区

4

576,553

144,138

1.31

0.63

秋田県 1区

4

746,266

186,567

1.70

0.81

〃 2区

4

510,479

127,620

1.16

0.56

山形県 1区

4

702,876

175,719

1.60

0.77

〃 2区

4

549,041

137,260

1.25

0.60

福島県 1区

4

746,404

186,601

1.70

0.81

〃 2区

5

742,451

148,490

1.35

0.65

〃 3区

3

546,417

182,139

1.66

0.80

茨城県 1区

4

1,022,888

255,722

2.32

1.12

〃 2区

3

629,668

209,889

1.91

0.92

〃 3区

5

905,451

181,090

1.65

0.79

栃木県 1区

5

990,169

198,034

1.80

0.86

〃 2区

5

802,032

160,406

1.46

0.70

群馬県 1区

3

632,888

210,963

1.92

0.92

〃 2区

3

507,732

169,244

1.54

0.74

〃 3区

4

707,942

176,986

1.61

0.77

埼玉県 1区

3

1,129,424

376,475

3.42

1.64

〃 2区

3

1,359,986

453.329

4.12

1.98

〃 3区

3

571,846

190,615

1.73

0.83

〃 4区

3

1,249,206

416,402

3.78

1.82

〃 5区

3

1,110,018

370,006

3.36

1.62

千葉県 1区

4

1,684,098

421,025

3.83

1.84

〃 2区

4

719,358

179,840

1.63

0.79

〃 3区

5

832,678

166,536

1.51

0.73

〃 4区

3

1,499,290

499,763

4.54

2.18

東京都 1区

3

599,986

199,995

1.82

0.87

〃 2区

5

1,041,068

208,214

1.89

0.91

〃 3区

4

1,071,083

267,771

2.43

1.17

〃 4区

5

1,135,217

227,043

2.06

0.99

〃 5区

3

852,782

284,261

2.58

1.24

〃 6区

4

793,192

198,298

1.80

0.87

〃 7区

4

1,514,493

378,623

3.44

1.65

〃 8区

3

471,099

157,033

1.43

0.69

〃 9区

3

885,724

295,241

2.68

1.29

〃 10区

5

1,535,379

307,076

2.79

1.34

〃 11区

4

1,718,221

429,555

3.90

1.88

神奈川 1区

4

1,190,558

297,640

2.70

1.30

〃 2区

5

1,770,063

354,013

3.22

1.55

〃 3区

3

1,405,950

468,650

4.26

2.05

〃 4区

4

1,583,116

395,779

3.60

1.73

〃 5区

3

974,661

324,887

2.95

1.42

新潟県 1区

3

723,666

241,222

2.19

1.05

〃 2区

4

552,599

138,150

1.26

0.60

〃 3区

5

762,672

152,534

1.39

0.67

〃 4区

3

412,420

137,473

1.25

0.60

富山県 1区

3

615,958

205,319

1.87

0.90

〃 2区

3

487,501

162,500

1.48

0.71

石川県 1区

3

753,960

251,320

2.28

1.10

〃 2区

3

365,344

121,781

1.11

0.53

福井県全県1区

4

794,354

198,589

1.80

0.87

山梨県全県1区

5

804,256

160,851

1.46

0.70

長野県 1区

3

573,636

191,212

1.74

0.83

〃 2区

3

459,873

153,291

1.39

0.67

〃 3区

4

557,795

139,449

1.27

0.61

〃 4区

3

492,630

164,210

1.49

0.72

岐阜県 1区

5

1,223,842

244,768

2.22

1.07

岐阜県 2区

4

736,265

184,066

1.67

0.80

静岡県 1区

5

1,329,747

265,949

2.42

1.16

〃 2区

5

1,144,701

228,940

2.08

1.00

〃 3区

4

972,356

243,089

2.21

1.06

愛知県 1区

4

1,056,077

264,019

2.40

1.15

〃 2区

4

1,307,117

326,779

2.97

1.43

〃 3区

3

987,139

329,046

2.99

1.44

〃 4区

4

1,156,608

289,152

2.63

1.26

〃 5区

3

682,872

227,624

2.07

0.99

〃 6区

4

1,031,825

257,956

2.34

1.13

三重県 1区

5

1,113,566

222,713

2.02

0.97

〃 2区

4

573,370

143,343

1.30

0.63

滋賀県全県1区

5

1,079,898

215,980

1.96

0.94

京都府 1区

5

913,938

182,788

1.66

0.80

〃 2区

5

1,613,392

322,678

2.93

1.41

大阪府 1区

3

717,101

239,034

2.17

1.04

〃 2区

5

1,191,631

238,326

2.17

1.04

〃 3区

4

1,643,449

410,862

3.73

1.79

〃 4区

4

1,448,742

362,186

3.29

1.58

〃 5区

4

1,590,684

397,671

3.61

1.74

〃 6区

3

739,448

246,483

2.24

1.08

〃 7区

3

1,142,391

380,797

3.46

1.66

兵庫県 1区

5

1,367,390

273,478

2.49

1.19

〃 2区

5

1,725,689

345,138

3.14

1.51

〃 3区

3

886,373

295,458

2.68

1.29

〃 4区

4

835,288

208,822

1.90

0.91

〃 5区

3

330,152

110,051

1.00

0.48

奈良県全県1区

5

1,209,365

241,873

2.20

1.06

和歌山県1区

3

664,753

221,584

2.01

0.97

〃 2区

3

422,259

140,753

1.28

0.61

鳥取県全県1区

4

604,221

151,055

1.37

0.66

島根県全県1区

5

784,795

156,959

1.43

0.69

岡山県 1区

5

914,906

182,981

1.66

0.80

〃 2区

5

956,117

191,223

1.74

0.83

広島県 1区

3

1,138,010

379,337

3.45

1.66

〃 2区

4

704,348

176,087

1.60

0.77

〃 3区

5

896,803

179,361

1.63

0.78

山口県 1区

4

750,817

187,704

1.71

0.82

〃 2区

5

836,262

167,252

1.52

0.73

徳島県全県1区

5

825,261

165,052

1.50

0.72

香川県 1区

3

543,475

181,158

1.65

0.79

〃 2区

3

456,389

152,130

1.38

0.66

愛媛県 1区

3

581,455

193,818

1.76

0.85

〃 2区

3

551,352

183,784

1.67

0.80

〃 3区

3

373,830

124,610

1.13

0.54

高知県全県1区

5

831,275

166,255

1.51

0.73

福岡県 1区

5

1,795,747

359,149

3.26

1.57

〃 2区

5

988,111

197,622

1.80

0.86

〃 3区

5

874,099

174,820

1.59

0.76

〃 4区

4

895,504

223,876

2.03

0.98

佐賀県全県1区

5

865,574

173,115

1.57

0.76

長崎県 1区

5

955,520

191,104

1.74

0.83

〃 2区

4

635,044

158,761

1.44

0.69

熊本県 1区

5

1,048,014

209,603

1.90

0.91

〃 2区

5

742,313

148,463

1.35

0.65

大分県 1区

4

807,681

201,920

1.83

0.88

〃 2区

3

421,232

140,411

1.28

0.61

宮崎県 1区

3

726,672

242,224

2.20

1.06

〃 2区

3

424,915

141,638

1.29

0.62

鹿児島県1区

4

827,742

206,936

1.88

0.90

〃 2区

3

451,880

150,627

1.37

0.66

〃 3区

3

348,927

116,309

1.06

0.51

奄美群島区

1

156,074

156,074

1.42

0.68

沖縄県全県1区

5

1,106,559

221,312

2.01

0.97

合計

511

117,060,396※

229,081

2.08

1.00

(注) 議員1人当たり人口は小数第1位を,最小区との比率及び全国平均との比率は小数第3位を四捨五入した。

※ 合計には東京都における境界未定地域の人口37人が含まれている。

別紙 三 昭和50年国勢調査確定人口による衆議院議員選挙区別人口等

(定数は50年改正後)

選挙区

定数

人口

議員1人

当たり人口

最小区

との比率

全国平均

との比率

北海道 1区

5

1,818,462

363,692

3.28

1.66

〃 2区

4

766,754

191,689

1.73

0.88

〃 3区

3

574,835

191,612

1.73

0.87

〃 4区

5

1,073,440

214,688

1.94

0.98

〃 5区

5

1,104,715

220,943

2.00

1.01

青森県 1区

4

933,070

233,268

2.11

1.06

〃 2区

3

535,576

178,525

1.61

0.81

岩手県 1区

4

813,001

203,250

1.84

0.93

〃 2区

4

572,562

143,141

1.29

0.65

宮城県 1区

5

1,385,013

277,003

2.50

1.26

〃 2区

4

570,254

142,564

1.29

0.65

秋田県 1区

4

725,380

181,345

1.64

0.83

〃 2区

4

507,101

126,775

1.14

0.58

山形県 1区

4

679,183

169,796

1.53

0.78

〃 2区

4

541,119

135,280

1.22

0.62

福島県 1区

4

708,221

177,055

1.60

0.81

〃 2区

5

736,927

147,385

1.33

0.67

〃 3区

3

525,468

175,156

1.58

0.80

茨城県 1区

4

917,750

229,438

2.07

1.05

〃 2区

3

604,016

201,339

1.82

0.92

〃 3区

5

820,432

164,086

1.48

0.75

栃木県 1区

5

930,932

186,186

1.68

0.85

〃 2区

5

767,071

153,414

1.39

0.70

群馬県 1区

3

597,453

199,151

1.80

0.91

〃 2区

3

475,160

158,387

1.43

0.72

〃 3区

4

683,867

170,967

1.54

0.78

埼玉県 1区

3

1,054,001

351,334

3.17

1.60

〃 2区

3

1,142,158

380,719

3.44

1.74

〃 3区

3

546,067

182,022

1.64

0.83

〃 4区

3

1,073,924

357,975

3.23

1.63

〃 5区

3

1,005,190

335,063

3.03

1.53

千葉県 1区

4

1,494,675

373,669

3.37

1.71

〃 2区

4

623,541

155,885

1.41

0.71

〃 3区

5

795,397

159,079

1.44

0.73

〃 4区

3

1,235,534

411,845

3.72

1.88

東京都 1区

3

638,366

212,789

1.92

0.97

〃 2区

5

1,091,382

218,276

1.97

1.00

〃 3区

4

1,090,790

272,698

2.46

1.24

〃 4区

5

1,197,606

239,521

2.16

1.09

〃 5区

3

880,743

293,581

2.65

1.34

〃 6区

4

824,001

206,000

1.86

0.94

〃 7区

4

1,480,329

370,082

3.34

1.69

〃 8区

3

513,996

171,332

1.55

0.78

〃 9区

3

918,282

306,094

2.76

1.40

〃 10区

5

1,525,009

305,002

2.75

1.39

〃 11区

4

1,512,718

378,180

3.41

1.73

神奈川県1区

4

1,168,340

292,084

2.64

1.33

〃 2区

5

1,698,272

339,654

3.07

1.55

〃 3区

3

1,207,278

402,426

3.63

1.84

〃 4区

4

1,453,431

363,359

3.28

1.66

〃 5区

3

870,427

290,142

2.62

1.32

新潟県 1区

3

685,492

228,497

2.06

1.04

〃 2区

4

539,751

134,938

1.22

0.62

〃 3区

5

750,692

150,138

1.36

0.69

〃 4区

3

416,003

138,668

1.25

0.63

富山県 1区

3

594,300

198,100

1.79

0.90

〃 2区

3

476,491

158,830

1.43

0.73

石川県 1区

3

706,732

235,577

2.13

1.08

〃 2区

3

363,140

121,047

1.09

0.55

福井県全県1区

4

773,599

193,400

1.75

0.88

山梨県全県1区

5

783,050

156,610

1.41

0.71

長野県 1区

3

554,414

184,805

1.67

0.84

〃 2区

3

445,219

148,406

1.34

0.68

〃 3区

4

543,122

135,781

1.23

0.62

〃 4区

3

474,809

158,270

1.43

0.72

岐阜県 1区

5

1,161,524

232,305

2.10

1.06

岐阜県 2区

4

706,454

176,614

1.59

0.81

静岡県 1区

5

1,285,296

257,059

2.32

1.17

〃 2区

5

1,104,892

220,978

2.00

1.010

〃 3区

4

918,611

229,653

2.07

1.05

愛知県 1区

4

1,053,347

263,337

2.38

1.20

〃 2区

4

1,195,732

298,933

2.70

1.36

〃 3区

3

937,081

312,360

2.82

1.43

〃 4区

4

1,059,280

264,820

2.39

1.21

〃 5区

3

651,736

217,245

1.96

0.99

〃 6区

4

1,026,393

256,598

2.32

1.17

三重県 1区

5

1,056,578

211,316

1.91

0.96

〃 2区

4

569,424

142,356

1.29

0.65

滋賀県全県1区

5

985,621

197,124

1.78

0.90

京都府 1区

5

952,463

190,493

1.72

0.87

〃 2区

5

1,472,393

294,479

2.66

1.34

大阪府 1区

3

758,430

252,810

2.28

1.15

〃 2区

5

1,218,968

243,794

2.20

1.11

〃 3区

4

1,536,032

384,008

3.47

1.75

〃 4区

4

1,381,715

345,429

3.12

1.58

〃 5区

4

1,492,712

373,178

3.37

1.70

〃 6区

3

801,589

267,196

2.41

1.22

〃 7区

3

1,089,479

363,160

3.28

1.66

兵庫県 1区

5

1,360,605

272,121

2.46

1.24

〃 2区

5

1,688,325

337,665

3.05

1.54

〃 3区

3

798,028

266,009

2.40

1.21

〃 4区

4

812,939

203,235

1.84

0.93

〃 5区

3

332,243

110,748

1.00

0.51

奈良県全県1区

5

1,077,491

215,498

1.95

0.98

和歌山県1区

3

650,737

216,912

1.96

0.99

〃 2区

3

421,381

140,460

1.27

0.64

鳥取県全県1区

4

581,311

145,328

1.31

0.66

島根県全県1区

5

768,886

153,777

1.39

0.70

岡山県 1区

5

884,774

176,955

1.60

0.81

〃 2区

5

929,531

185,906

1.68

0.85

広島県 1区

3

1,042,349

347,450

3.14

1.59

〃 2区

4

716,461

179,115

1.62

0.82

〃 3区

5

887,514

177,503

1.60

0.81

山口県 1区

4

742,622

185,656

1.68

0.85

〃 2区

5

812,596

162,519

1.47

0.74

徳島県全県1区

5

805,166

161,033

1.45

0.74

香川県 1区

3

517,751

172,584

1.56

0.79

〃 2区

3

443,541

147,847

1.33

0.67

愛媛県 1区

3

541,386

180,462

1.63

0.82

〃 2区

3

546,688

182,229

1.65

0.83

〃 3区

3

377,141

125,714

1.14

0.57

高知県全県1区

5

808,397

161,679

1.46

0.74

福岡県 1区

5

1,603,889

320,778

2.90

1.46

〃 2区

5

970,689

194,138

1.75

0.89

〃 3区

5

853,695

170,739

1.54

0.78

〃 4区

4

864,690

216,173

1.95

0.99

佐賀県全県1区

5

837,674

167,535

1.51

0.76

長崎県 1区

5

934,640

186,928

1.69

0.85

〃 2区

4

637,272

159,318

1.44

0.73

熊本県 1区

5

980,353

196,071

1.77

0.90

〃 2区

5

734,920

146,984

1.33

0.67

大分県 1区

4

772,536

193,134

1.74

0.88

〃 2区

3

417,778

139,259

1.26

0.64

宮崎県 1区

3

679,222

226,407

2.04

1.03

〃 2区

3

405,833

135,278

1.22

0.62

鹿児島県1区

4

780,445

195,111

1.76

0.89

〃 2区

3

437,287

145,762

1.32

0.67

〃 3区

3

350,291

116,764

1.05

0.53

奄美群島区

1

155,879

155,879

1.41

0.71

沖縄県全県1区

5

1,042,572

208,514

1.88

0.95

合計

511

111,939,643

219,060

1.98

1.00

(注) 議員1人当たり人口は小数第1位を,最小区との比率及び全国平均との比率は小数第3位を四捨五入した。

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
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